ビジネスはお客さんに興味を持ってもらって、商品やサービスなどとお金を交換します。僕は、「ビジネスは価格と価値の交換」だと思っているのですが、その価格の設定というのがなかなか厄介。
たいした価値のないものに多くの価格を払わせることもできるし、価値相応の価格を支払わせることもできる。「いかに上手く売るか?」によって成約するかどうかは変わるんです。
上手く売り込むことができれば高い価格で買ってもらうこともできるし、上手く売り込めないとお客さんは価格の安い競合に行ってしまう。価格競争が激しい業界が多いですが、その業界の中で生き残れるのは売るのが上手い企業でしょうね。マーケティングがしっかりしていて、営業も上手い。人が集まって買ってくれないとビジネスは成り立たないですから。
さあ、この点をお客さん目線で見てみるとどうなるでしょうか?
お客さんはいいものをできるだけ安く買いたい。様々な価格を提示してくるところがたくさんあるので、お客さんはできるだけ安いところを探します。
そうすると、お客さんを逃がさないために価格競争が起こるわけですが、限界は必ずある。いくら売上をあげても、利益を取れないと企業は倒産してしまいます。
そんな状況も、お客さんにとってはいい状況なのかもしれません。
しかし、安ければ売れるというものでもない。
売込みが上手ければお客さんは思わず買ってしまいます。
そう、お客さんは「これだけのお金を払う価値がある」と思えば消費を行うんです。その価値を教えてあげるのが売り込み。実際のところ、使ってもいない商品の価値なんてお客さんにはわかりませんから。
その価値は本物か?
お客さんが消費活動をするキッカケになる「これにはこれだけの価格を払う価値がある」ですが、その価値は実際の価値よりも与えられた価値のほうが大きくなります。要は、それを手にしたときの実際の価値よりも、売る側である営業マンとかから教えられた価値のほうが大きくなりやすい。だって、お客さんはその商品やサービスのことをよく知らないわけですから。そこをいかに上手く感じてもらえるかが鍵になるわけです。
しかし、与えられた価値と実際の価値に大きな差があれば、与えられた価値は一時的なものにしかならない。
やたら大げさに「これはいいですよ!」と説明されたパソコンも、使ってみていい感想を持てなければ最初に受け取った価値はなくなってしまう。
だから、お客として買い物に行くときなどは、その商品やサービスの価値をよく考えないといけません。いくら営業が上手な人に売り込まれても、自分にとってその買い物は本当に価値があるのかを考える。無駄なものを買ってしまって多くの支出をするようでは、相手に上手く売り込まれただけです。
必要なもの、本当に欲しいものを買う。不必要なもの、欲しいと思わされたものは買わない。
保険とか、投資商品とかは、害がある場合も結構ある。いくら「あなたの役に立つ」と言われようが、「買ったほうが得だ」と言われようが、買って得するのは結局売る側です。あなたに利益があるかは別として。売る側は何とでも言い訳できますからね。
僕は、保険とかの売込みを受けると「なんてくだらないこと言ってるんだろう」とか思ってしまいます。あれなんですよ。結局は自分たちの利益を考えているのが見え見えで呆れるんですよね。消費者目線と売る側目線がわかっていると。
僕が思うに、本当の価値を見つけられるのは自分自身だけです。人から与えられるものではない。人それぞれ価値観は違うし、考え方も違う。まあ、価値観や考え方が近い人から与えられる価値には、本当の価値があるかもしれませんが。
しかし、自分の利益ばかりを考える人たちから与えられる価値なんて無いに等しい。まあ、そこをいかに売り込むかが営業マンの仕事なんでしょうけど。
正直者と金取り
世の中にはお客さんからお金を取ることしか考えていないようなビジネスマンと、お客さんに価値を提供して価格を払ってもらうビジネスマンがいます。
金取りのビジネスマンはいかに悪いことを言わずにいいことだけを伝えようかと考えます。
masaさんのブログ「貯金生活。投資生活。」の「カタログや広告においては、本当に重要なことは小さな文字で書いてある」という記事を読んで思ったのですが、カタログとか広告にはいいこと、宣伝したいことばかりを大きく書いて、もっと重要なことは小さく書いてある。(「※1」みたいに)
つまり、それを隠したほうが売り込みやすいんでしょう。いいことばかりをでかでかと宣伝して、本当に大事なことは見えにくくする。めんどくさがり屋のお客さんはそこまで目を通さないかもしれない。そして、そのおかげででかでかと書いた宣伝文句が効果を発揮する。お客さんを何だと思っているんでしょうね。
あとでクレームが来たとしても、ちゃんと文章に書いてあるんだから法的には問題はなく、不実告知にはなりません。なんか、この社会システム自体が間違っているような気がします。
あと、「無料、無料」と言いながら、進めていくうちにお金が掛かる場面が多く出てくるソーシャルゲームとか、お客さんをなめすぎです。ゲームを上手く進めるにはお金を払ってアイテムを買ったりしないといけない。そこで払われたお金が企業の利益になる。こういうのを「金取りビジネス」っていうんです。
いかにお客さんを誘導し、お金を払わせるかしか考えない。
そう考えると、正直者は意外と少ないです。多くの企業はいいことばかりを宣伝し、悪いことはあまり説明しない。本質を話さないというか。
それで売上があがり、利益が取れるんだから始末が悪い。まあ、それだけ売るのが上手いということなんでしょうが。
いいところも悪いところもちゃんと説明して、本当の価値を与えようとしてくれる正直者ビジネスも世の中にはあります。心からいいと思えるサービスを提供し、いい商品を売ってくれる。毎回行きたくなるようなそんないいビジネスもあるんです。いいサービスをしてもらったならお金を払ってもいいと思えるし、そう思わせるのが正直者のビジネスでしょう。悪いところを隠そうとしてばかりいる金取りビジネスとは本質から違います。
結局のところ、いかにお客さんの心を掴むかが成約のポイントなわけです。一時的にお客さんの心を掴むために騙すような真似をしてはいけない。
なのに、多くの企業や事業主は利己的。
金取りビジネスは自分の利益しか考えません。
正直者ビジネスはお客さんに喜んでもらえるように頑張ります。お金を貰わないとビジネスとして成り立たないので、お金はちゃんともらいますが。
ただ、「お金を払ってもいいな」と「しょうがないからお金を払うか」には大きな差があると思います。
お客さんの感情の動かし方にもいろいろあるということでしょうね。
とにかく、金取りビジネスには気をつけましょう。