お金のことを考えるときに、絶対に信じてはいけないものがある。
ビジネス、投資、仕事など、絶対的な真実だが、多くの人が見落としてしまうことがある。
それは、「これがずっと続く」という楽観論。もしくは、悲観論。
「株価がずっと上がり続けているから、これからも上がるだろう」
「うちの会社が潰れるなんて考えられない」
「この方法、この商品があれば仕事が絶対に上手くいく」
「ずっとデフレが続くだろう」
「地価はこれからも下がり続けるだろう」
これら全て、絶対にそんなことはない。株価が上がるときもあれば、下がるときもある。むしろ、上がり続けているということは、それだけ下落のリスクが高まっているということ。
ビジネスの世界も、永遠に続くものなんてない。体制を変えないと、商品を生み出さないと、システムを変えないと、存続などしていけない。状況は変わっていく。気候が変わっていくように、それに合わせた対応が必要なのだ。
楽観論の弊害
「これがずっと続くだろう」という楽観論の弊害はいろいろある。最近では、サブプライムローン。
サブプライムローンは、信用が低い顧客に対して提供された、不動産を担保にした住宅ローン。当時のアメリカは地価が上昇傾向にあったから、担保がしっかりしていると考えられ、信用が低い顧客にもローンを提供した。
しかし、地価は下落し、頼りの担保であった不動産の価格が下落し、担保割れが起こった。その結果、多くの不良債権が生まれ、世界経済に大きな影響を与えた。
この問題が世界規模になったのは、アメリカの銀行がサブプライムローンを債券化して売り出したため。これに目をつけて債券を買った企業などは、大きな打撃を受けた。こうして、サブプライムショックが始まり、リーマン・ブラザーズが破綻した「リーマンショック」も引き起こされた。
これこそ、楽観論の弊害のいい例。地価がずっと上昇することなんてあるわけがないのだが、なぜか人々は、上昇している環境だとそう考えてしまうようだ。
これが一番わかりやすいのが株式市場かもしれない。株価が上昇しているときは、人々はリスクが高いにも関わらず買いに走る。反対に、下落していくときは、優秀な企業の株を安く買うチャンスにも関わらず売りに走る。
現状がずっと続くと考えてしまうから、こんな不合理な行動がいつまで経っても変わらないんだ。まあ、あとは多くの投資家の知識不足、認識不足もあるでしょうが。
こういう楽観論、悲観論によって多くの人たちが損をしていることは言うまでもない。為替相場も同じですね。
ビジネスの世界でも、同じことがずっと続くことはない。今まで上手くやってきた小売業界も、通信販売の登場によってお客さんを奪われたり、携帯電話の普及によって固定電話のシェアが奪われたり、インターネットの普及によって多くの環境が変わったり、顧客ニーズの変化によって企業は対応を変えなければならなかったり。
今までと同じ手法や商品がずっと通用することなんてない。まあ、生活必需品とかは別かもしれませんが。
しかし、企業は昔のようなやり方ではやっていけない。法律は変わっていくし、インターネットの普及によって、それを無視することもできなくなってきた。
つまり、従業員も、今までと同じやり方がずっと続くのはまずい場合もある。そして、企業がいつ潰れてもおかしくない状況を考えると、いつまでも一つの会社に固執するのもリスクになる。
不可能を追い求める人たち
この世界には不可能なことがあります。それは「未来を完璧に予想すること」です。
なのに、多くの人はこれをやろうとする。株価の動きを予測しようとする。デフレが続くと考える。地価の下落は続くと考える。うちのビジネスは絶対だと考える。
この会社は潰れないと考える。
なぜ人々はこんな馬鹿げたことをしてしまうのか?
明日、自分に何が起こるかなんて完璧に予想することなんてできますか?そう、何もかも詳細に。一つの要因で、状況が大きく変わることだってあるんです。
自分の明日のことも予想することは不可能なのに、なぜもっと大きな世界のことを予想できるなんて思っているのか。
その楽観論、悲観論は、間違いを生み出す。何事にもリスクはある。バブルは弾けるし、時代は変わるし、明日は何が起こるのかなんてわからない。
だから、必要なのは確率を考え、リスクを分散すること。「100%これが起こる」なんてことは稀なこと。ならば、確率の高いものをいくつか持っていればいい。
何かが駄目になっても、別のものがカバーしてくれる。
これは、ビジネスでも、従業員でも、投資でも考えるべきこと。
リスクを考えず、一つのことがずっと続くと考え、何も対策を取らない。こんな危険なことを、多くの人はやってしまっている。
もう一度よく考えてみて下さい。あなたは「予言者」を気取ったりしていませんか?楽観論、悲観論に支配されていませんか?