バランスシートとは、会計用語で言うと「貸借対照表」というものです。
これは「この人・企業の資産と負債の状況はいくらですよ」というのを表にまとめたもの。バランスシートを見れば、その人・企業の経済状況が大まかに知ることができます。
企業では、決算ごとにバランスシートを作り、公開するのが当たり前。
企業の経営状態を株主などに知らせるためです。また、自分が経営する会社の経済状況を見るのにも使われる。現状を知り、改善点を模索するためにも、バランスシートは役に立つんです。
バランスシートは、個人にも関係が大有り。
「それは企業だけの話じゃないの?」
いいえ、個人でもバランスシートは作れます。というか、誰でもバランスシートは持っている。それを表にしているか、していないかの違いです。
資産と負債のバランスを無視すると、収入の多さに関係なく、経済状況が悪化してしまう危険性が高い。いくら収入が多くても、借金が多ければ、利息に収入を食い潰されてしまうし、収入がなくなった途端に破産しかねない。多くの人は収入と支出ばかりを気にしますが、それでは隙がありすぎる。
個人でも企業でも、誰でもバランスシートを作り、資産と負債の状況を知る必要があるんです。
というわけで、「種類別収支管理シート」「年間収支記録シート」に続きまして、「バランスシート」を作ってみました。印刷して、項目を埋めていけば、あなたのバランスシートがすぐに作れます。
バランスシート( PDFファイル)
では、使い方の説明をします。
バランスシートの作り方
基本的なこと
バランスシートの作り方は簡単です。企業だと、多くの時間を掛けないと作れない場合もありますが、個人の資産と負債はそんなに項目が多くなく、非常にシンプルなので、すぐに作れてしまいます。
資産(現金、預金、不動産、株式など)を左側に、負債(ローン、カード未払い金など)を右側の欄に書いていき、その合計額などを簡単に計算するだけ。
バランスシートは、一年に一回だけ作れば充分です。一年に一度書いてしまえば、その年の変化を記入しなくても、だいたいの状況は把握できるでしょうし。
資産と負債は長期的な視野で見ましょう。
作るタイミングですが、一年が始まったついでに作るといいでしょう。年初からテンションが下がるのが嫌なら、春ぐらいでもいいかもしれません。とにかく、毎年同じ時期に作る。
ちなみに、単位は千円になってます。1万円なら10千円。こんな感じで書いて下さい。
千円未満は四捨五入してもいいし、切捨てでもいいです。僕は切捨てで書いてます。
資産について
資産とは、「自分に所有権のある経済的価値があるもの」です。現金、預金、株式、不動産、自動車などがそれです。
資産は、もっと言うと「将来的に利益をもたらすもの」という定義もあるんですが、今回はその辺はなしでいきます。
資産の中にも、「流動資産」と「固定資産」があります。
これを分けるのは、「継続性」です。現金や預金、株式などは流動性が高いから「流動資産」と呼ばれ、比較的継続して使われる不動産や車などは「固定資産」です。
流動資産は、現金や預金、有価証券など。大体はこれらに当てはまると思います。有価証券は、株式や債券などの「経済的価値のある証券」。
これらを、バランスシートを作る時点での金額を書きましょう。株式などは、その時点での評価額を書く。
そして、流動資産の横にあるカッコの中に、流動資産の合計額を書きます。
固定資産は、住宅などの不動産、車、保険の積み立て金など。定期預金なんかは、流動資産でいいです。
問題は、これらの金額。住宅や車などは、その時点での評価額を調べる必要があります。ちょっと手間が掛かりますが、調べてみる価値は充分にあると思います。
間違っても、購入した金額で書かないで下さい。住宅、車などは、ほとんどの場合、買った瞬間に価値が下がります。
とにかく、現時点での評価額を大事にしましょう。
なお、家財道具などは、たいした金額にならないのでそこまで気にしなくてもいいです。もし売った場合に、それなりに大きな金額になるようなら、新しく「家財道具」などの項目を作って、金額を記入して下さい。
固定資産も、合計金額を固定資産の横のカッコの中に書きます。
そして、流動資産と固定資産の合計額を「資産合計」に書く。これでその時点での資産額が把握できます。
負債について
負債は、「他者から借りていて、まだ返済していないお金」です。
多くの負債には利息が付きます。つまり、負債は支出を生み出すもの。負債を多く抱えてしまうと、経済状況が悪化するのは目に見えています。
負債の額は、必ず知っておかなければなりません。
負債にも、流動負債と固定負債があります。これを分けるのは「すぐに返済するものか、長期的なものか」というところ。
流動負債は、カードの未決済分、短期のキャッシングなどが挙げられます。カード未払い金は、その時点での未決済分の合計額。要は「カードで払ったけど、まだ引き落とされていない分」ですね。あとは、短期のキャッシングなどがある場合は、ご自分で項目を作って書いて下さい。ちなみに、利息を無視した金額を書きましょう。
項目を埋めたら、流動負債の合計金額をカッコの中に書きます。
固定負債は、住宅や車のローン、奨学金などの、「長期的に返済していく負債」です。これらも、その時点での残高を書く。そして、固定負債のカッコの中に合計を書き入れます。
全部の項目を埋めたら、流動負債と固定負債の合計金額を「負債合計」に書く。これで、バランスシートはだいたい完成です。
純資産について
純資産は、「資産から負債を差し引いたらいくら残るか?」というもの。その時点で負債を返済したとして、いくら残るのか?そういうのが純資産です。
というわけで、計算した資産合計から負債合計を引きましょう。これがあなたの純資産額です。
計算した金額を「剰余金」に書き、その金額をそのまま「純資産合計」に書く。
ちなみに、この数字がマイナスだと「債務超過」と言われます。資産よりも負債が多くなっている状態ですね。債務超過は、危険な状態です。早急な改善が必要でしょう。
最後に、負債合計と純資産合計を足して、「負債・純資産」の欄に書く。「資産合計」と「負債・純資産」の額は同じになります。債務超過の状態でも、純資産はマイナスなので、それと負債を足すと資産額と同じになるわけです。
これであなたのバランスシートが完成します。
メモ・目標について
この項目は自由に使って下さい。「あのときの借金がまだこんなに残っていて大変だ」とかをメモに書いてもいいですし、何か気が付いたことをメモしておきましょう。
目標は、「5年以内に純資産の額を倍にする」とかを考えて書いておきます。その次の年に、書いた目標を見直して、更に考える。要は、期限を付けた具体的な目標を持ち、それを達成するために考え、行動することを目的にしたものです。
目標は、人生を効率的、効果的にするために大事なもの。目標とメモ、上手に活用してみて下さい。
安定した状態とは?
バランスシートを作っても、基準がわからないと目指すところもわからないですよね。なので、簡単に説明しておきます。
理想は「負債比率1以上」です。
負債比率とは、負債額を純資産額で割ったもの。負債1に対し、純資産1以上が好ましいということです。
もっと言うと、「資産:負債=2:1」以上が好ましいということ。
負債は、返済ができなくなると破産してしまいます。なので、もし収入がなくなったとして、「負債を完済しても、資産が充分に残る状態」が「安定している」と言えるわけです。
収入と支出を意識するのは大事なことです。しかし、資産と負債を無視してはいけない。経済状況の大きな問題は、「収入と支出」ではなく「資産と負債」にある場合も多いんです。
資産と負債の金額がわかると、いろいろと目標も立てやすい。「収入をいくら増やす」や「支出をいくら削減する」というよりも、もっと具体的な計画を立てやすいんです。
資産と負債のコントロールができれば、あなたの「お金のスキル」はもっと上昇するでしょう。そのためには、まず現状を知ること。そうして、資産の最大化を図っていくんです