ビジネスで報酬を得るには、お客さんに価値を提供することです。お客さんに喜んでもらえるような価値を提供する。お客さんが感動するような価値を提供する。そうすることによって、お客さんはあなたにお金を払ってくれるんです。
もっと報酬を増やしたいと思ったら、提供できる価値を大きくするとか、お客さんを増やすとか。そういう努力が必要になります。
しかし、世の中にはそれ以外の方法で報酬を増やそうとする人たちがいます。正直なところ、人の感情を動かせれば、お客さんはお金を払ってくれるんです。お客さんに、「買いたい」「欲しい」と思わせる。これを上手くやれば、提供できる価値とは関係なしにお金を儲けることも可能です。
要は、人を信用させて、「お金を払ってもいい」と思わせる。これは、詐欺師がやっていることです。詐欺の本質は、騙すことではありません。信用させることです。信用を得られれば、人はお金を払いやすくなる。そこに上手い話、家族が危ないなどの話を持っていけば、相手はお金を払ってくれる。
これは、詐欺に限った話ではないように思います。提供する価値を意識しないで、「お金がほしい」という理由でお金を奪うようなビジネスは、世の中に確かに存在しています。
ネットワークビジネスの罠
人を信用させ、人に希望を抱かせることで稼ぐような形になってしまっているのがネットワークビジネスというもの。ネットワークビジネスは「マルチ商法」で、紹介した会員が商品を買ってくれると、購入代金の一部が自分に入ってくるというシステムになっています。
ネットワークビジネスは、会員全員が欲しい物だけを買っていれば、被害者が出ないシステムのはずなんです。それなのに、欲のある人たちがいるおかげで、被害者が出るようなビジネスになってしまっているんです。
「権利的収入が得られる」「あなたも成功できる」「ビジネスで成功すれば夢が叶う」「経済的自由になれる」
こういう胡散臭いセールストークも、そこに関わっている人たちの人柄、何より「信用のある知り合いから紹介された」という要素があれば、信用を得ることはそこまで難しくはないんでしょう。ビジネスの要素がない友達からネットワークビジネスの話を聞いても煙たがるかもしれませんが、ビジネスで成功してそうな知り合いから紹介されると、なんとなく信用してしまうかもしれません。
「ビジネスで成功しよう」というネットワークビジネスのやり方は、末端が損をするようになってしまいます。上の会員にとっては、下のラインにいるビジネス仲間は「収益源」なので、できるだけ商品を買ってくれて、やめないようにしていきたい。そういう思いの人が多いので、それに信じてついていく人の誰かは損をするようになってしまう。
「投資だから」と言われて無駄に商品を買い込まされたり、「成功のため」と言われて集まりやセミナーなどのためにお金や大切な時間を浪費していく。そうやってはまっている間も、下の会員は上の会員を儲けさせている。
ネットワークビジネスを行っている方々にこれだけは言いたい。
「あなたは、友人や知人からお金を奪ったり、借金をさせたりしてまでビジネスで成功したいですか?」と。
価値を提供しないビジネスは、価値以外の「実態のない信用」などで相手にお金を払わせないといけなくなります。そんなことをしていて、あなたは本当に幸せになれるのでしょうか?
胡散臭いネットビジネスというもの
Googleなどで「お金を稼ぎたい」という感じに検索すると、「ネットビジネス」という言葉に出会う確率が結構高いです。「ネットビジネス」とは、インターネットを使ったビジネスのことです。アマゾンや楽天なども、ネットビジネスと言えるんです。
ただし、検索で出会いやすいネットビジネスは胡散臭いものが多いです。そういうサイトを見ていると、「こうすれば儲かる」とか「こういうふうにビジネスをしよう」というアドバイスをしていることがしばしば。アドバイスの中には、なかなか的を得ているものもあったりします。
しかし、それを読み進めていると、「稼ぐ秘訣はこちら!」などいう文言があり、そこからメルマガへの登録を促されたり、何かを売られたりします。売られるのは、多くの場合「情報商材」と呼ばれるものです。情報商材は、なぜか数万円や数十万円くらいするものがあります。その多くは、ただの電子書籍であったり、音声や動画のファイルだったりします。
メルマガに登録しても、情報商材を勧めてくることが多いもの。結局は「成功したければこの情報商材を買って勉強しなさい」と言いたいらしいです。情報商材は、単価も高く、利益率も高い。だから、胡散臭いアフィリエイターはそういうものをやたら勧めてきます。それでも、ネットワークビジネスに参加する方がいるように、情報商材を買う方もいるものなんです。
情報商材が勧めている「儲かるやり方」には、禁止されているような方法や、世の中に煙たがられるような方法もあったりします。情報商材を買うような人がたどり着く最終的な儲けの方法は、「情報商材を売ること」でしょう。だって、単価も高いし、利益率も高いから。情報商材を買う立場だった人が、人に「稼げる方法を教えます」と言って情報商材を売り出す。正に堂々巡りですね。現実的な価値が生み出されていない。
人を信用させ、人に価値のないものを売りつける。価値を与えず、人からお金を奪ってまでお金を儲けたいんでしょうか?ビジネスを学びたいなら、ビッグビジネスの経営者の自伝などを読んだほうが学べることは多いと思います。ドラッカーの本もなかなか勉強になると思います。しかも、そういう本は情報商材みたいに何万円も何十万円もしません。
情報化社会と言われるように、ネットを使えば様々な情報を簡単に入手することができます。だからこそ、これからの時代は、いい情報と悪い情報を見分ける力を養うことも必要になるでしょうね。
価値の最大化を図るか、利益を追求するか
会社に頼らないでお金を稼ぎたいなら、あなたが生み出せる価値を見つけ出し、価値の最大化を図るといいでしょう。「簡単に儲かる方法」なんて、世の中に存在しないんです。変なものを信じると、大切なお金・時間・友人などを失うことになってしまうかもしれません。
利益は欲しいかもしれませんが、追求するものでもないんです。利益を追求するなら、価値を最大化することも意識しないとバランスが悪くなる。利益のみを追求していると、人からお金を奪うようなビジネスになってしまうかもしれない。
今回挙げた例はほんの一部ですが、世の中には価値のないものを売りつけて儲けようとするビジネスはまだまだあると思います。あなたがお客さんの立場にいるなら、「これにそこまで払う価値があるのか?」というのを考えてみることも大切でしょう。価格を支払ったのに、たいしたものを得られない。価格と価値を交換できないなら、お金を払う必要なんかないものです。
あなたがビジネスを行う立場にいるなら、誠実でいましょう。お客さんに何をしてあげられるのかを考えること。結局のところ、そういう姿勢が信用を生み出し、お客さんを作り、リピーターを増やしていくものだと思います。あとは、価値に見合った報酬を受け取れる仕組みを作ればいい。
お金を奪ってまでビジネスで成功しようとしても、あなたはお金や時間だけじゃなく、もっと大切なものまで失ってしまうかもしれませんよ。